お知らせ
2025年6月23日
お知らせ
【献体事務室便り】ニッポンの色

黒南風の候、雨上がりのしっとりとした風の中にくちなしの香りが漂う季節となりました。
今、世情での一番の関心事は、私たちの日々の生活に欠かせないお米の価格と流通のことかと思いますが、一日も早い政府の対応を期待したい初夏の幕開けです。

ここに今年度、就任された大上研二医学長のご挨拶状を同封させて戴きました。
ご存じの方も居られると思いますが、昨年末の美容外科医による思慮のないSNSの発信に医学教育ならびに献体運動に心を寄せて下さる方々からの驚愕と大きな不安の声が全国の献体事務室および関係機関に届きました。それを受けた日本解剖学会は『献体解剖倫理指針』に、ご献体を用いた解剖学実習の実施に際して、これまでより細かい指針が掲げられました。
本学でも今年度の解剖学実習が開講され1ヶ月が経過しました。会員様、ご家族様におかれましてはご不安やご心配も多々あるかと拝察致しますが、学部長の挨拶の中にございますように、遺体(故人)への礼意および医学における守秘義務のさらなる徹底による解剖学実習を行っております。医学部医学科の2年生123名は週2日間の終日をご献体者の方々からの学びに真摯に取り組んでおります。開講当初は医学を学ぶことの難しさが滲み出ていた学生諸君の表情も、日を追うごとに好奇心と探究心に輝く瞬間が見て取れるようになりました。
7月末の解剖学実習終了までのあと2ヶ月、更なる成長を期待して頂きたいと思います。

さて、梅雨の鬱陶しいこの時期の自然界を色で表すと紫陽花青、若紫、藤鳩羽色、白緑(びゃくろく)などと表現されるようです。この美しい詞は日本の自然や文化から生まれた伝統色を表す言葉ですが、周りを見渡せば、自分の身近な場所にもそれを見つけることができ、重ねて探したくなります。他にも蟹鳥染(かにとりぞめ)は夏の到来をおもわせるような爽やかな青色、明るく澄んだ青色は水縹(みはなだ)と言われ、川や湖などの水面に重ねたこの時期を表現する色だそうです。
そんな折、献体の登録を希望される篤志家の方とご面談をしていた折に『私のラッキーカラーは黄色』とお話しになり、光り輝く満面の笑顔に黄色の襟元が印象的でした。当年、喜寿を迎えられ、週2回のテニスと、自宅近くに借りられた畑での農作業、そして月1回、この後の住処となるだろう入所施設を探すバスツアーへの参加とご多用な日々をお過ごしになっているお顔はまさに麦秋色に輝いていらっしゃいました。

こうした機会を頂けることは私にとっても活力になります。
ぜひ、みなさまにも心落ち着く色や元気が出る色、優しい色と自分のお好きな『ニッポンの色』を移ろう景色の中で見つけて頂ければ嬉しいです。
みなさまが日々、健やかにお過ごしになれますようお祈り申し上げております。

令和7年 青水無月
東海大学医学部献体事務室 遠藤京子 記

開講に先立ち、林教授から『献体解剖倫理指針』についての解説

実習開始時および終了の黙祷

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電話 0463-93-1121 0463-93-1121
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