お知らせ
2015年12月10日
お知らせ
【献体事務室便り】ご縁を紡ぐ・・・

暖冬との長期気象予報にほっとしたのも束の間、師走の朝らしい冷え込みを実感するようになりました。
まだまだやり残したことは山積みにもかかわらず、一年を振り返る候となってしまいました。
今年も目に焼き付いた情景がいくつも浮かびます。

桜も見納めという四月中旬、花曇りの少し肌寒い京都でのシンポジウムに参加した後、足を伸ばして仁和寺に出向きました。そこで桜布教なる光景を初めて目にしました。僧侶のお話の一語一句と奏でる優しいバイオリンの音色を聴き入る人々の胸に強く響き、頬には涙のしずくが光っていました。
是非、この感動を会員様とも分かち合いたいと思い、それを実現するための一年でもありました。

五月晴れの初夏の日差しに背中を押されるかのように、かの桜布教で拝聴した僧侶の方に思い切ってお手紙を書きました。「これもご縁ですから」とすぐに僧侶から快諾のお返事が届きました。

木々の葉の色も緑から黄色に変わり始めた十月中旬の『献体の会懇話会』の会場に、颯爽と御衣を纏った僧侶には片手にバイオリン。釘付けになっている会員様のお顔・・・これから何が始まるのだろうと興味津々の表情が伺えました。しかしお話が始まるとその言葉の一句一句に会員様が丁寧に頷かれ、バイオリン演奏に酔いしれ、会場内では拍手喝采がいつまでも鳴り響きました。

初冬間近の小春日和の午後、倉敷駅から西へひと駅、閑静な住宅街の中の秋空にそびえ立つ三重の塔を目指して歩きました。たどり着いた場所は瀬戸内三十三観音第二番所札所の岡山県倉敷市の遍照院、バイオリン演奏をしてくださった僧侶の  お寺です。先に見えた三重の塔はこのお寺の境内に応永二三年(今から六〇〇年前)に建立された国の重要文化財。柔和なお顔で迎えてくださった僧侶に案内された立派な格式高いご本堂に渾然と十一面観音様がご安置されていました。
「この観音様がどのようなお顔に見えますか?」と私にお尋ねになられ、思わず「ほっとしたお顔をなさっています」と答えてしまいました。そして慈愛に満ちたお声で、「このお顔は今のあなたの心の中です。本尊を拝むことは今の自分のありのままの姿を知ることです。見えた姿は自分の心の表れで、それを知った上で、次は自分がどうするかを考えることが大切なのです」とご教義くださいました。
はっとした私は、自分の全てを読み取られたような気がして身震いを覚えました。あれだけ切望して演奏会を お願いしたにもかかわらず、演奏会終了後、きちんとしたご挨拶も出来ずに今日までになっていたことが、いつも心には引っ掛っていたものの、目の前の仕事に追われ、延び延びになっていました。そしてようやく感謝の思いをお伝えできた私自身の心が観音様のお顔に映ってしまったこと。恥ずかしさと安堵でいっぱいになりました。

今年は九州新幹線に続き、北陸新幹線が開業しました。来年二〇一六年の春には北海道新幹線の開業で
日本列島が一つのレールで繋がり、人々の移動も今まで以上に頻繁に行き来ができるようになります。
そして本学でも患者様の国際間の移動などに対応できるようなグローバルな医学教育を目指して、国際認証照準の医学教育カリュキラムが来年度から始まります。
本学の医学教育を支援してくださる会員の皆様と一緒にご縁を紡ぎながら、どこまでもレールを繋げてゆきたいと思います。様々なご協力をお願いすることもあるかと思います。その節はどうぞ宜しくお願い致します。

同封致しました『未来へのメッセージ』に、皆様の夢や希望をどんな小さなことでも構いませんので文字や絵にしてお届け戴きたら嬉しいと存じます。
十年先の事は誰もが難しい世の中ですが、三年後だったら・・・書けそうな気がしませんか?
春先の小さな切なる思いが、夏・秋・冬と経て紡がれました。未来を思い描くことは生きていく柱だと思います。
新しい年も皆様が大きな柱に向かって、希望に満ちた日々をお過ごしになられますようお祈り申し上げます。

二〇一五年  春待月

東海大学医学部献体事務室
遠藤京子 記

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