お知らせ
2017年12月6日
お知らせ
【献体事務室便り】一日一日、積み上げて・・・

師走の夕暮れは超特急が駆け巡るかの如く、あっという間に夕闇から星空に変わっていきます。
一段と冷え込んで参りましたが、みなさまお変わりありませんか。
遅くなりましたが、本日、みなさまのもとに新しい年の献体手帳をお届け致します。

さて、今年も余すところ十日余りになりましたが、献体事務室の大きなテーブルの上には、いくつもの書類の山が一山減るとまた一山重なり・・・ため息とともに、帰宅の路にたどり着く日々です。そんな雑多な日々の中ですが、日付が変わる頃、読む新聞が私の唯一のくつろぎタイムとなります。そこで先日、目にしたコラムをぜひ、みなさまにもご紹介します。

ある女優さんのお母様のお話しです。

『九十五歳になる母は一人で外に出る事はおろか掃除することも、大好きな洗濯もできなくなったのは
いつのころか。街で元気なお年寄りを見る度についつい考えてしまう。
そんな折、母の主治医の先生から、『お母様は今も家族のために食器を洗われています。きちんと洗えていないかもしれないけれどそれでいい。そこに自分の存在価値を見出せるのですから。アドラー心理学では幸福とは貢献感であると位置づけています。老いることは失うことではなく積み上がることなのです』と言われました。
母は私が稽古場から大きな荷物を抱えて帰って来ると荷物を持ってくれることは出来なくなったが、
『大変ねぇ』と出迎えてくれる。デイケアに送り出す母の手を私が軽く握ると、『ハイ、ハイ、今日も頑張りますよ』と強く握り返す。この日常の何とも言えない時間は、前は知ることが出来なかったものだ。出来ないことが増えてもその代わりに分かってくることが沢山ある。『さあ、今日も頑張りますか』と一生懸命、食器を洗う母を見ながらこの人の娘であることを誇りに思う。今日も母の一日が積み上がっていく。
私も一日一日を積み上げてゆこう』と結ばれていました。

会員にお会いした時のお姿が、そして戴くお手紙がこのコラムに重なります。また、最近の私自身にも身につまされるお話しでもあります。誰もに起こる身体の変化をこのように受け止められるといいですね。

一日が一日が積み上がっていく・・・何と素晴らしい表現でしょうか。
これからの課題は誰にも起こるこの変化に対して、どう補っていく必要があるのかだと思います。
『献体』と言う『貢献感』同様にこの変化を生きてきた証しとして『幸福感』に変えてゆこうではありませんか。

今夏、みなさまのお声をゆったり拝聴できる空間が坂部医学部長の計らいのもとで整いました。
六階に移動した献体事務室からは市内が一望でき、昼間は燦燦と太陽の光が差し込み、夕暮れ時には一つ二つと小さな灯りを数えることができます。
会員の皆様、ご家族の皆様からのご献体に関するお話しは勿論ですが、今、ご不安やご心配なさってること、胸の内の苦しい事や辛い事、そして時に嬉しいお話、楽しいお話をお聞かせください。
問題解決には至らないけれども、誰かに話しをすればご自身の心の中を気付かれることがあるかも知れません。誰かに語ることは決して恥ずかしい事でも弱い事でもなく、自分自身を受け止める決意がより明確になり『幸福感』にも繋がるのではないかと思っています。また、人に寄り添うことは医学医療の 原点でありますので、今後もお互いが決意を決めて寄り添い、支え合える  献体運動を展開して参りたいと思います。

同封致しました『感謝の言葉』は本年十月に行われた解剖慰霊祭での学生代表の感謝の言葉です。若き医学生諸君の日々は多忙ではありますが、希望と夢に溢れております。彼等を見守り支えてくださいます皆様に心より感謝申し上げ、新しい年がみなさまにとっても良い年になりますようにお祈り致します。

二〇一七年 春待月

東海大学医学部献体事務室
遠藤京子記
                 
 
 

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