お知らせ
2012年12月10日
お知らせ
【献体事務室便り】めぐり会ったすべての偶然の出会いに感謝して・・・

冒頭のタイトルは今年初めに会員様から頂いたご挨拶状に添えられた一行です。
このお言葉の通り、素晴らしい出会いに感謝した一年になりました。

今秋、立派な額に収められた大きな一枚の絵が届きました。『一緒に登ろうよ』と題されたその絵は若い母親が幼い娘の手を引いてゆっくりと坂道を登っていく様子が描かれています。送り主は国の重要文化財にも指定されている函館ハリスト正教会の正門で二十年近く、淡々とスケッチを続けられている函館在住の東豊司様からです。

今年度の献体業務の大きな目標のひとつに、ご献体された方のお迎えする部屋をより明るい清潔感に満ちた優しい空間とすることを掲げました。そこはご献体された方とそのご遺族様が最後のお別れをする神聖な場であると同時に医学生も一緒に参列し、ご遺族様と医学生が真に向き合う教場でもあります。
改装の着工準備にあたっては常日頃から本学の献体運動を私たちと共に推進し支えてくださっている(株)サンライフサカエヤのスタッフと一緒に青写真を組み立てていきました。

時を同じくした初夏、私はご献体された方の郷里である函館へご遺骨のお返しに参りました。偶然にもその地で言葉を交わしたのがかの東画伯です。ご自分の作品のほとんどを函館赤十字病院や国立函館病院・ハリストス正教会等、数多くの公共機関に寄贈されているとのことでした。
『人が好き。人が集まる教会で人を見て、人と話し、人を描いている』という画伯の絵に対する強い信念を伺い、どうしても改修工事の終えた部屋にこの方の絵を掲げたいと思い、思い切ってお願い致しました。そして嬉しい事に献体運動の意義や本学の会員様の高い志に、大変感動され『自分は献体という崇高な行為までは及べないけれど、そのような方々の後押しをぜひお手伝いさせて頂きたい』と快く引き受けてくださいました。

会員様共通の思いは『医学を通しての社会貢献』ということに尽きると思いますが、それと同時にどの会員様に接しても根底に『人が好き』という人間愛が満ち溢れておられ、東画伯と何か相通じるものが見えたような気がして、心躍りました。                                               

そして夏も終わりかけた頃、先出の(株)サンライフサカエヤの社長様が出張先の函館で、またもや偶然に東画伯と出くわし、東海大学に絵を寄贈する事を聞かされ、心底、驚かれたそうです。

後にその話を聞いた私も重なるこの偶然の出会いに本当に驚きました・・・
やはり、志を同じくする者はどこかで必ず繋がるのでしょう!
はるばる津軽海峡を越え、西へ八百キロ、縁あって今、ここ東海大学医学部の一室に掲げられた一枚の絵は、深い悲しみの中にありながら大切な故人の尊いご遺志を貫こうとするご家族に優しく寄り添い、慰め、語りかけくださいます。いくたびかの偶然の巡り合わせが同じ志を持つ者同士をさらに幾重にも固く結び付けられたことを確信できた素晴らしい一年でした。

今夏、訪れたスイスアルプスの山々、モンブラン・マッタ-ホルン・アイガーは気高く気品に溢れて堂々と聳え立ちながらもどこか懐かしい親しみを思い起こさせてくれ、会員のみなさまのお顔と重ね合いました。東海大学医学部が新設されてからもうすぐ四十年、篤志家の方々の一人一人の善意がスイスアルプスの如く高く高く積み上げられ、揺るぎない本学の医学教育の礎となっています。

末筆になりましたが、篤志家のみなさま、そのあと押しをして下さる各方面の方々、そしてめぐり会ったすべての偶然に感謝し、来る年がみなさまにとって明るい希望に満ちた年でありますよう、お祈り申し上げております。

二〇一二年 寒さ厳しい年の瀬に 

東海大学医学部献体担当
遠藤京子 記

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