お知らせ
2007年12月10日
お知らせ
【献体事務室便り】目指せ! オックスフォード

毎週月曜日の朝9時、解剖学のスタッフの週明けは居室・研究室・カンファレンスルームの掃除から始まります。
机の上、本棚、実験台の清拭はもとより床のモップ掛け、使用済み用紙のリサイクル回収等々、箒を持ち、モップを掛けるその真摯な姿は若き修行僧と重ね合いますでしょうか?

本年4月の当教室のリニューアルにより、教授室を除く、カンファレンスルーム・献体事務室・教官室が1つの大部屋となり、良くも悪くも全て一体となりました。
当初、賛否は色々ありましたが、明るく広々とし、そしてどこかで、いつも人の気配や温もりを感じることができ、ほっとします。

その昔、長屋で生活する人々が隣近所の暮らしぶりを時には見て見ぬふり、聞いて聞かぬふりをしたり、また時には声を掛け合ったり、手を差し伸べたりと、心の通い合う日々を過ごしていました。現代社会に忘れられつつある長屋暮らしが、ここ解剖学教室で始まりました。同時に共通空間という意識の中、部屋の整理整頓、他の人の迷惑にならぬよう物音の配慮など、日本人の原点として忘れかけていた何気ない心遣いや気配りを思い出し、勉強させてもらっています。

ところで今秋、私は英国の学都オックスフォードを訪ねる機会に恵まれました。
その佇まいは、我が国の古都に似て伝統に彩られつつ、しかし学問の府に相応しい空気に満ち溢れていました。石畳には多種多彩な学徒の汗と涙が染みこんでいるようにも見え、行き交う人々の目は学問に打ち込む真剣な輝きを湛えていました。
私達も今いちど、長年に渡って培われた日本の文化や伝統に根ざした暮らしや生き方を振り返ってみる必要があるなあと思いつつ、黄昏時のオックスフォードを後にしました。そして是非、この雰囲気を教室にもと思わずにはいられませんでした。まずは形から???と思いを固めたひとときでした。

リニューアルされた教室には今年もまた多くの篤志家の皆様にご来訪頂きました。
夏の暑い盛り、伊豆の熱川から大渋滞をくぐって車で見えた初老のご夫婦、品川と横浜から見えた姉妹のような幼なじみと言うご婦人お二人、当院に通院の折に痛む足をかばいながら必ずお顔を見せてくださる方、入会時から自分の行きつく場所を見たいと切望され、ようやく願いが叶って息子さんご夫婦に手を引かれて見えた方、そして箱根からは自家製の温泉卵を何度となく運んでくださった方もおいででした。
また慰霊祭には、遠路はるばる京都からご夫婦で参列され般若心経の写経を託された方、献体された亡き妻の遺作の額絵を熱海から友人とお持ちになられた方もおられました。会員様による『語り部の会』では2名の方が学生達にそれぞれの思いを語って下さいました。

沢山沢山の方とお会いし、お話しをすることができ、お目に掛かったどのお顔も、どのお顔も、私の楽しい時間の記憶に留めてあります。ご来訪頂けない方からも多くの温かい励ましのお手紙そしてお電話を頂戴いたしました。
人々が行き交い集う場所には文化が生まれ、そのすべてが本学の誇れる宝物だと信じております。どうぞ来年も篤志家の皆様のお顔、お声を首を長くしてお待ちしております。

時候柄くれぐれもお身体をご自愛くださり、良い年をお迎えくださいませ。
末筆ながら、皆様の益々のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。

2007年 冬至
東海大学医学部 献体担当
遠藤京子

献体のお申し込み・お問合せは
こちらからお願いいたします
電話 0463-93-1121 0463-93-1121
 (内2500)
平日9:00-17:00
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